はやぶさ2のカプセル回収に新居浜高専2期生の石丸さんが活躍
2020年12月17日
新居浜高専2期生機械科(2M)を卒業された石丸(旧姓・佐伯)さんは、来年1月1日には73才の誕生日を迎えます。その直前の偉業達成に、2M同級生一同は驚きと誇りを感じています。
2020年12月5~6日、はやぶさ2、最後のミッションはカプセル回収。火球となって見守る人々を感動させながら大気圏に突入したカプセル。カプセルは高度1万mでパラシュートが開き、スピードを徐々に弱めて、風任せの状態で南オーストラリア・ウーメラ砂漠に落下する。落下するカプセル(直径40cm、高さ20cm)は、円盤投げの円盤(直径22cm、高さ4.5cm)に比べて2倍程度しかない。カプセルは何処に着地するか予測は困難。そこで登場するのが新居浜高専2期生の石丸さんが開発・製造したビーコン発信機とビーコン受信機でした。
受信機とアンテナはセットで局と呼ばれ、前回は4局でしたが、今回は5局になっています。ビーコン受信局は5ケ所あり、南オーストラリア・ウーメラ砂漠の長さ150km、幅100kmの楕円形縁上に設置。落下予測範囲はほぼ四国に相当する広さ、例えれば、鳴門、室戸岬、四万十川河口、宇和島、松山、の位置になるでしょう。落下予測地点は四国のように山岳地帯ではないが、砂漠とはいえ、草がまばらに生えています。見失うと容易には発見出来ない。ビーコンによるカプセル回収追跡は万全の体制であったこと、前回のハヤブサ回収の経験もあったのでしょう。予測地点から数百メートルの範囲に落下したそうです。
「新居浜高専2M石丸さんの(下町ロケット)」
石丸さんの(下町ロケット)では、カプセル回収のキーパーツとしてのビーコン受信機と発信機です。JAXAではドラマ(下町ロケット)のようなイジメもリベンジもありません。しかし石丸さんはたった一人で考案し開発して実物機を自分で製造する。しかも2階建アパートの一室を工房にして、ビーコン発信機と受信機はこの工房で誕生。究極の下町ロケットと言えるでしょう。考案・開発は東京理科大物理に進学した結果であり、製造は新居浜高専機械科で実技実習の経験があったからだと言えるでしょう。
「2012年7月15日、新居浜高専2M同窓会で、石丸さんの偉業を知った」
50周年記念の時に実現したのが(新居浜高専2M同窓会)でした。その会場で2M同級生たちがハヤブサ回収の装置を造ったのが石丸さんであることを知りました。2020年の(はやぶさ2)と区別する為に、便宜上(ハヤブサ)と記載します。
2009年頃、JAXAから石丸さんに依頼があり、カプセルからの電波信号(ビーコン)を受信する装置は石丸さんが開発・製造したものでした。この時、訓練用のビーコン発信機も石丸さんが開発・製造しました。
2010年6月13日、カプセルは(ハヤブサ)から切り離されて、南オーストラリアのウーメラ砂漠に落下。着地予想地点の周囲に展開したビーコン受信局(4局)が落下位置を推定し、6月14日に回収されました。
「2018年JAXAロケット最小ギネス認定、佐伯(石丸)さんにも届く」
4月27日、「SS-520」5号機が、超小型人工衛星を軌道に投入した最小のロケットとして、ギネス世界記録に認定され、佐伯さんにも(ギネス記録認定書)等が届きました。
「(SS-520)5号機は東大が開発した超小型衛星を宇宙に運んだ。超小型人工衛星TRICOM-1Rは11.6cmの四角柱で、長さは34.6cm、質量はノートパソコン並みの3kgである。情報を(取り込む)という意味で(TRICOM)、改良型で(-1R)がつく。打ち上げ後に、(たすき)という名前がつけられた。これは、技術の実証成果を次につなげたいという駅伝の(たすきリレー)を意味する。
(SS-520)は科学衛星を打ち上げる東大生産技術研究所の糸川博士のペンシルロケットにルーツを持ち、全長は9.65m、直径は52cmである。電柱の高さ、胴回りは164cmでお相撲さんの腹よりも小さい。高さから(電柱ロケット)とも言われる」
「SS-520」-5号機ロケットは切り離し段階で若干の振動と揺れを伴う。それを制御のため搭載したコマンド受信機では石丸さんの相棒である2Eの武智さんがFPGA 回路を設計〔プログラム〕してくれましたとのこと。
タッチダウン
日時:2020年12月6日 午前2時半頃
場所:南オーストリア ウーメラ砂漠