平成22年度 新居浜工業高等専門学校卒業式
2011年3月8日
平成二十二年度卒業式 並びに 専攻科修了式 祝辞
ご挨拶に当たり、まずもって、甚大なる東北・関東大震災の被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、
- 社会に巣立つ本科生及び専攻科生諸君
- 本校専攻科及び大学に進学される諸君
- 専攻科から大学院に進学される諸君
- 留学生諸君
本日の良き日、卒業証書授与式並びに専攻科修了式にお招きを頂きありがたく存じます。
また同時に本日から皆さんを本校同窓会である、燧会の新しいメンバーとしてお迎え出来る事は、私の大きな喜びでございます。
皆様に、はなむけのお祝いを一言申し上げます。
「はなむけ」という言葉の由来は、旅立つ人の道中の無事を祈って、旅人の乗る馬の鼻先をその行く先へ向けた故事から、旅立つ安全を祈り前途を祝う事を「はなむけ」と言うのだそうでございます。
最近のNYタイムズの記事に『お金で幸せが買えるか』というのを見つけましたので、要点のみになりますが、私の本日のはなむけとしてお話し申し上げます。
では、お金で買える幸福とは何か、それはハード・ソフトに拘わらず “商品を買うまでより、買った後に幸福感が持続し増幅するもの” だと述べています。まずは人の考える真の豊かさとは何かということを考えなければなりません。
それは物質的豊かさの側面をX軸、精神的なそれをY軸、自由の豊かさをZ軸とする3次元の位置空間にプロットされる必要があります。若い皆さん方にはZ軸の自分の自由勝手に使える豊かさの尺度が既に浸透しているものと存じます。
最近の消費動向は、モノからコンテンツへ、物質的幸福から精神的あるいは自由のもつ幸せへのファクタにおいて満足を得られるものを選択する傾向があ る事を論じており、従来から工学部の任務としてはモノ造りが中心であり、物質的な豊かさを提供する事に秀でて来たメイドインジャパンは、既にモノ造りにお いて世界の高性能・高品質の代名詞になっております。
そこでエンジニアの仕事を、 “社会に幸福を提供する事” と定義した場合、お金で物を買ってもらえるモノに関る仕事から、こうしたトレンドを理解して単なるモノでなく “幸せを売るんだ” と考えて仕事に取り組んで頂きたいと存じます。
皆さん方の先輩方は既にここをクリアしてきた筈でありますから、そこは諸先輩方によく聞いて頂く事をお勧めします。
私は第一期卒業後から今日までの44年間、一人の社会人、企業人として道に迷った時、仕事上の達成感に有頂天になった時、一人母校を訪れて恩師を訪ね、再び教えを乞い、校庭を散策し、その時々に癒され、更なる新しい力を授かって参りました。
まさに母校は私の生涯の特別なる処でございます。願わくば皆様にもその様になって頂きたく存じます。
以上簡単でございますが、本日の卒業式に当たりお祝いのご挨拶とさせて頂きます。
2011年03月18日
燧会会長 前田敏彦